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ガンダムから怪電波

【8月20日】
※今日というか昨日というか、19日の夜から20日の未明にかけてアニメ夜話スペシャル「まるごと!機動戦士ガンダム」といった番組がBSであった。

※私は「ガンダム」にはまったく興味が無くて、というよりあれで「アニメおたく」という人が増殖して、気持ち悪くなって(おしゃれじゃないし、重箱の隅つつくし)アニメファンをやめたくらいのマイナスイメージがあるくらいなのだが、夫や幼なじみは割合好きらしく、ふたりの話にはまったくついて行けなかった(し、ついて行きたくもなかった)。

※しかし世間はガンダムで商売になるらしく、1979年の作品にもかかわらず、続編もでき、ガンダムショップも乱立している。そしてこういう特番が登場するくらい、ファンは多く、また長くファンの心を引きつけている。

※夫が見始めたのでついでになんとなく見ていたのだが、まず司会のNHKアナウンサー自体がガンダムファン、錦織健さんの独唱を聴いた後、感極まってウルウルしている。錦織健(オペラ歌手・1960年生まれ)・福井晴敏(「亡国のイージス」の著者、1968年生まれ)・品川祐(漫才コンビ「品川庄司」1972年生まれ)・茂木健一郎(脳科学者・1962年生まれ)の4人が、ガンダムの魅力について熱っぽく語った。

※私より下の年代の人が多いのかなーと思っていたが、このメンバーはそうでもなかった、が、視聴者から寄せられるお便りには「子供の頃に見て」という感じの、今30代の人が多かったようだ。

※ファンでもない私にとっては「ふーん・・・」という感じだったが、富野由悠季監督のインタビューには聞き入ってしまった。マニアの世界では、この監督の性質は周知のことらしかったが、歯に衣着せぬ語り口で、基本的にケンカ売っているタイプ。この人の作品や著書もよく知らないのでコメントはできないが、ただ一つ心に残ったのは、ガンダムの意図というか一番言いたかったことは「戦争は悲惨だよ」ということだったという発言。実際には、モビル・スーツを作りたい!という少年達が大きくなって産業ロボットを実際に作り始めている現状はあって、その影響力は確かにあるのだが、「戦争は悲惨だ・・・・」と感じて反戦運動に身を投じた少年達は、そんなに多くなかったように思える。スポンサーの玩具メーカーや放送局のしばりでロボットアニメという枠組みでの作品だったとはいえ、その中で戦争を子供達に見せよう、という反骨精神というかゲリラ戦法というか、そういう気骨はなかなかいいなあと少し好きになってしまった。


※富野由悠季監督は虫プロ出身である。調べてみると先日日記に書いた真崎守も虫プロに同時期に在籍しており、媒体は違うが両者とも「戦争」を少年達に見せようとしていたということになる(こうしてまた、私の頭の中で怪電波が飛ぶわけである)。8月16日の日記で、「70年代には、自然に戦争に突き当たる作品があったのではないか」と書いたけれど、80年代にだってそういう意図を持った作品は存在したのだ。ただし、そのことよりも玩具的な造型に多くの人の意識が集中してしまって、その意図が隠れてしまったのかもしれない。

※手塚治虫・虫プロ・真崎守・富野由悠季、という流れの中には、「戦争」というものがきっと明確にあったのだろうが、周辺の資本主義的制限(おもちゃが売れないと困る、スポンサーが付かないと困る的)によって、ずいぶん意図が薄められてしまったのだろうと思う。ガンダムは結果的には商業的大成功だったと思うが、本来の目的は達成できなかったように思う。真崎守はガンダムに比較すれば数少ない対象に、深くくさびを打ったが、商業的な成功ではなかった。だけどきっと、あと50年もすれば、真崎守と富野由悠季が並んで評価されるときがくるかもしれない。今は真崎守、絶版が多いですけどね・・・。

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