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へーんな気持ち

【9月18日】
※昨日、小袖のデザインをうまくアレンジすれば面白いものができるかも、と書いてから、そういやあ、「美しいキモノ」誌上でそういう試みやってたよなあと思い出した。でも、どれも着たいと思えなかったことも思い出した。なんでだろう。小袖のシルエット自体が、今のキモノとは違うのと、細帯を低く締めるのも違うから、同じような柄付けで今の帯をすると、くどいのかもしれない。でも、それくらいのことは専門家が計算してデザインし直すのだろうから、原因はそれだけではないのかもしれない。

きょうの「どうでもいいこと」:ヒトフクロウ。

ベビースターラーメンの新製品のCMで、一袋、一気に食べちゃったら「ヒトフクロウ」という、顔はフクロウで体は人間という化け物(といっていいのか?)が出てくるよ、というものだが、フクロウのかぶり物をしているのは地井武男で、「首から下は地井武男♪」と歌われている。

※このCM、実は少しコワイというか複雑な気持ちになるのだ。というのも、フクロウのかぶり物といえばO嬢の物語にでてくる小道具で、主人公「O(オー)」の人格やココロや何もかもを無効にする、匿名の存在にするためのものなのだ。寺山修司がこれを原作にして、上海異人娼館という映画を撮ったので、見た方も多いかもしれないが、おフランス製の映画もあった。

※複雑な気持ちになるというのは、「O嬢の物語」においては「人格を剥奪するためのフクロウの仮面」が、ヒトフクロウにおいては「地井武男という人格をあくまでも忘れない仮面」という使われ方をしているところである。あのCMを撮った人は、O嬢の物語を見たのか、見ていないのか。

※また、仮面というのは儀礼に用いられる際は、この世の人間という存在から、あの世の、神や精霊になるための小道具なので、かぶった人の人格・個性・存在を消し去り、「別の存在」になるためのものだ。それが「ヒトフクロウ」では逆転しているというか、地井武男がかぶっているという点が強調される。

※たぶん、あるとき地井武男の顔を見て、フクロウに似てない?と思ったんだろうなあ。でなければ地井武男がかぶる意味というか根拠がない。しかし、その結果、私はあのCMを見るたび、へーんな気持ちになるのであった。あれは、実は「仮面」の持つ意味を無効化してしまう、すごい作品なのかもしれない。
タグ:映画

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