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異種格闘読書

【9月22日】
※依然として資料づくり。夕方、なんとか目鼻が付いた。

※あれこれ用足しや買い物に行かなければならなくて、花屋や本屋やクリーニング屋を回る。

きょうの異種格闘読書:下流社会 新たな階層集団の出現 光文社新書
          しみったれ家族 平成新貧乏の正体

※全然違う棚でそれぞれ手に取ったのだが、同じ題材を全く違う手法で語っている。前者は統計調査の手法を使い、後者は観察力、あるいはほとんど直感である。おもしろいことに、両者とも分析としては、ほぼ同じ結論といってもいい。前者で下流社会と呼び、後者では「張り子の虎タイプ」「夜間ディスカウントショップタイプ」と呼ぶものを浮かび上がらせている。しかしそこから先が違っていて、前者では階層格差は実在し、それを固定化させないための手段を提案している。後者では、その階層格差は妄想であると看破する。最後の提案では、前者では「機会悪平等」後者では「知識を使う力」となる。

※「機会悪平等」というのは、下流社会に属する現状に至る経緯には社会の矛盾もあるので、周囲からのサポートも必要という考えから、家庭環境が劣悪であれば入試の際に点数を下駄履きさせて、合格しやすくしてもいいのではないか、という提案。金持ちがいい学校に行っていい仕事に就けるのなら、最初からマイナス地点に裁っている子供にはそのマイナス分、オマケして平等にしてはどうかというものだ。

※「知識を使う力」というのは、世の中の構造が複雑になればその分、隙間や抜け道もできるから、それをうまく利用して生き延びる方法である。その情報を得るためには「知識を使う力」さえあれば、最初からマイナス地点にいる子供もその距離を縮めることができる、という提案だ。しかし、この提案は親が自覚を持って、子供が自分と同じ階層に固定化されないようにしてあげようという努力を必要とする。


※両者に共通しているのは、今現在「下流社会」に属している大人についてではなく、この中にいる見所のある子供が、同じような道を歩かないですむように考えているところだ。つまり、どちらも「次の世代にも受け継がれてしまったら、子供がかわいそう、このままじゃ社会全体もマズイことになりそう・・・」と思っているのだ。

※前者がそういう気持ちになったのは、大学で学生と触れあって、あまりにも閉鎖的で行動半径が狭いことに驚いたためのようだ。その根源を探っていくと、首都圏郊外の地元で買い物も学業もほぼ用が足り、都心に出ないで充足している実態に突き当たったようだ。それが、ずっと同じ階層人々と同じ土地で暮らしていくことにつながり、「郊外都市」という名の「ムラ」が作られていくことになるという危惧につながった。それを阻止するためには、若者が移動し、異種の人と関係を持つことが必要で、そのためにはそれを容易にするシステムが必要だと考えた。

※後者は、階層格差社会がある、という妄想に縛られ、自分で「負け組」とラベルを貼ってくすぶってしまうのではなく、いかにその中で前向きに生き延びるかを、「知識を使う力」「どこに有益な知識が隠されているか、を見抜く力」を使うことが重要という。この結論に至るには、夜中に居酒屋に子供を連れてきている親(「しみったれタイプ4と分類されている)の、その子供が、このままだとどうなるんだろうか、なんとかしないとマズイぞ、と感じたためであるようだ。夜中に外に引きずり回されている子供が、ちゃんと朝から気持ちよく学校に通えるはずがない。登校したとしても現在の公立の授業内容はスカスカである。しかも夜中に連れ回されている子供は、私立に行けるはずもない。当然、学力は劣っていくだろう。「行政も、タイプ4の中でも見込みのある子供をすくい上げられるシステムを作れ!」と半ば悲痛な調子で訴えている。

※つまり、両書とも分析で終わらず、なんとか次の世代にはこの状況を打破できるようにしておかなくては、という愛というか思いやりで締めくくられたのである。コンビニの前でへたり込んでいる金髪のお兄ちゃんだって、そうなりたくてなったわけではなかろう、という視線があったのだ。逆に言えば、そういう子供、お兄ちゃんお姉ちゃんを作り出してしまった親の世代には、半ば絶望しているのかもしれないが。

※余談だが、「下流社会」にはドラゴン桜の台詞の引用があって、「カタ(型)がなくておまえに何ができるっていうんだ。素のままの自分からオリジナルが生み出せると思ったら大間違いだ!カタにはめるな!なんてホザくやつはただのグータラの怠け者だ!」というのがあった。そうだよねえ、やっぱり運針からだよねえ、と思いました。

きょうの「どうでもいいこと」:セレベス

※赤い里芋だが、この名前って「横浜か中日に来る外国人選手」っぽくないですか。阪神にはなぜか絶対来ないタイプ。
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