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火事場のバカ暴露 ~申し訳ありませんでした~スチャラカ着物

【10月30日】
きょうの雑誌:ユリイカ11月号「特集*文化系女子カタログ」

※「文科系女子」というのがどういうものを指すのかは、話が長くなるのではしょる。すみません。で、その特集の中でおもしろかったのを少し。

●「女子が世界と遊ぶ方法」落とし穴判別テスト付き/平山亜佐子 より

※「世の中から求められている女子像」というのは「顕在的/潜在的な男子の需要を即座に関知し、半歩先に提供していく『誰にも愛されない自分なんか愛せない』という姿勢だが、それを追求するあまり目的を見失って見当はずれになるか、開き直って自らの嗜好に走ってしまうという落とし穴がある」という。その落とし穴を判別するためのテストがいくつか用意されているのだが、その中の一つを以下に引用。

●家が火事になったときに真っ先に持って出るものは?
a.限定モデル、カスタムを含めたブライスのコレクション45体
b.清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入した35万円の着るあてのないアンティークの訪問着
c.タコシェやナディッフをまめに回って集めたミニコミ
d.子どもの頃から使い慣れたうさこちゃんの枕

※この設問は女子の「素」に属する部分で、火事場で搬出を手伝う男子は、ここで相手の「素」と直面することになる。女子の「自らの嗜好に走ってしまった部分」を見せつけられるということか。彼の心理を想像して、その顛末を解説している。アンティークの訪問着に35万も絶対出さないけれど(3万5千円だって出せない)、もっとも自分に近いb.を選んで(d.にちょっと感情移入できる感もあるが、)解説を読むと、大笑い。

●bの女子とつきあう男子は、さらなる試練に直面するとはっきり予言できる。なぜなら「職人の手仕事に魅せられて」購入したとされる着物は、一般的に言って、まず、ボロ布にしか見えないからだ。そして着物に取りつかれた女子は、今後も常人には理解しがたい買い物を続けるであろうことをにおわさずにはいられないのは、老婆心というよりも、主にわたしの正義感からである。

※大当たり。そうですよねえ。私の夫も気の毒だ。まあ、でも私も多少、火事場のことは考えたこともあって、必死で運び出す着物がほとんど、ボロにしか見えない上にカビ臭い、という事態は避けたいと思って、悉皆屋さんに借金も増えているのだ。しかしこの消費行動も「常人には理解しがたい」ものだろう。

※それにしても、選択肢の一つにアンティーク着物が登場するようになったとは、裾野が広がったというのか、一般化したというのか、行動様式の一つの典型になったとでもいうのか、5年前からすると嘘のようだ。その頃この選択肢があったら「そんな奴はおらんやろ」(大木こだま)と突っ込まれて終わりだっただろうなあ。

※「常人には理解しがたい」「自らの嗜好に走る」行動様式の一つに「ジャニーズオタク」、略して「ジャニヲタ」というのがあって、同特集に「ジャニヲタ天国?地獄変?」松本美香という抱腹絶倒の稿がある。大笑いできると思ったら、松竹芸能の芸人さんなんですな。これはぜひ立ち読みしていただきたい。もちろん買っていただいてもいいですけど。自ら泥沼にはまりながら、冷静に観察・分析しており、しかもそれでもその道を突っ走る、拍手ものの人生だ。

※ユリイカで、こんなに笑わせてもらったのは初めてかも?というか、あんまり買わないけど。

※謝罪記事
※昨日、ジュンク堂にも見あたらなかったので、夢で見たんじゃないのかと私によって完全に否定された、「北千里の本屋には平積みされていたキモノ本」というのが、昨日の日記をアップしたあと発見されました。女優の箪笥という、室井滋の対談集らしく、発行は9月で、もうジュンク堂では在庫が切れていて、北千里には残っていたということでしょうか。

※若年性ボケ夫婦の片割れにされてはかなわない、と夫から強い抗議がありましたので、この場を借りて訂正と謝罪をさせていただくことにいたしました。ワタクシが悪うございました。若年性ボケは私だけです・・・。

※それにつけても、近所のスカの本屋には一瞬たりともこの本が並んだことはなかったので、さすがスカの本屋だ、その実力を再認識した次第です。嗚呼、文化果つる土地。

※昨日、外出先で「キレイ」という言葉に必要以上に変な反応をしてしまったのだったが、あれこれ考えるに、若い店員さんは持っているボキャブラリーの中からもっとも妥当そうなのを選んでいってくれたのだろうと思う。今の若人は好ましいものは「かわいー」あるいは「やばい」と表現することが多いらしいのだが、それらは「自分がその対象と関わる場合」において使われる。「カワイー」から欲しい、とか、「はまってしまいそうなくらい好ましいのでヤバい」とか、自分と対象の間に距離があまりない場合。

※しかし、着物というものは、そんなに、今見て今欲しいので今手に入れようと思うようなものではない。つまり、距離がある。「着たことない」「着られない」「高い」という刷り込みがあるからだ。それで、博物館の収蔵品を見るくらいの距離感で、賞賛の形容詞を探したら、「キレイ」という表現になったのだろうなあと思う。

※私は「・・・ありがとうございます」というまでの「・・・」の間にこちゃこちゃ、いらんことを考えたのだったが、ではどういう形容詞だったら、即座に「ありがとう!」と言えたのだろうか、と考えた。その結果、形容動詞の方が種類が多かったのだが、「華やかですね」「あでやかですね」「たおやかですね」「しとやかですね」、すべて当てはまらない。が、「スチャラカですね」といってもらえたら、我が意を得たり、と即座に喜べたのではないか。「変」と言い切ってしまうには一応コンセプトというか目標はあるらしい、そういう場合にぴったりの表現ではないかと思うのだ。

※自分以外の誰も期待していない目標に向かって着る着物、それが「スチャラカ着物」である。着物雑誌にも今後、「あでやか着物」の次の頁に「スチャラカ着物コーナー」ができればいいのになあ。憧れでもない、見栄でもない、競争でもない、自分自身が「笑える着物」。それがスチャラカ着物である。間違っても「笑われて」はいけないのであるが。
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