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レンコンじゃなくて

7月21日

※写真倉庫、更新しました。
※最後の講義が終了。あー、ホッとしました。

※科目が「生活科学」なので、出来るだけ科学的な話を中心にしようと心がけてきたが、まあ最後だしということで、残り10分あたりで、今日着ていた小千谷縮の源氏車の柄について解説してみる。まず、車輪を指さして、なんの柄かわかりますか、と質問すると「レンコン」「朝顔」など見当外れの答えが出て、次に「水車」というのが出たので、「んーちょっと近づいたかな」と誘導すると「自転車」とか、近代的になってしまい、ヒントとして「この着物は少なくとも1944年よりも前のものだと思う」と示すと、さすがに自転車はないと思ったらしく、「人力車」など、時代背景を考慮に入れた回答が出てきた。
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※そのあたりで種明かしし、牛車の車輪がモチーフになっているということ、それが水紋とセットになっていること、なぜ外された車輪が水に半分漬かっている(片輪車紋)のか、を解説する。牛車は平安時代の貴族が乗っていましたね、その当時は金属の車輪はありませんね、つまり木製ですね、木は乾燥すると割れたり変形したりしますね、だから水に漬けて乾燥を防いだんですね、という具合。

※着物の文様にも、このように人々のモノに対する扱い、生活の知恵や工夫が描かれているわけです、それが描かれているモノの時代背景などから推察して、この時代にはあれがあった、これはなかった、という事実をベースに、どのようなモノだったのか、なんのために行っていたのかなど、想像力を働かせて理解すれば、いろいろなことが知識のヒントとなります、そして、モノは、人間が考え、人間が必要とし、人間が作り、人間が使うもので、それを詳しく観ていくことはすなわち、人間の追究でもある、と、なんとかかんとか授業の内容にくっつけて、一応の整合性を保った。

※これが結構面白かったらしく、来年の講義では、時々こういう話も交えていいのかもしれないと思った。これまでは、単に私は着る洋服がないので着物で行っているだけで、特に「着物を着ているアタクシ」「着物に詳しいアタクシ」臭をさせないように気をつけていて、着物類について特に語ることを避けていた。なんか、「あなたたちはご存じないでしょうけど」的な選民意識を感じさせるのではないかと恐れていたせいもある。

※まあ今回は着物柄も講義のタイトルにフィットしていたのだ。木は乾燥する、だから水に漬ける、というのは原始的とはいえ、科学であろう。客観的事実ですしね。それと同時に、それが文様になるというところが文化でもあるが。

※講義は終了したが、最終テストの代わりにレポートの採点が9月にある。だからマラソンでいうと、ようやくスタジアムに入ったあたりかもしれない。レポートは毎年「生活の中の30」というテーマで、それぞれが対象を決めて「同じに見えるなにか」を30個集めて観察し分析するというもの。今年、面白そうなのは「大阪のオバチャンは必ずアメちゃんを持っているという印象があるが、実際どうなのか」を確かめる調査で、道行くオバチャン30人に声をかけて、本当に持っているのか、どういうのを持っているのか(のど飴系だとか黒糖系だとか)、アメちゃん専用袋があるのか、それはどのようなモノなのか、それから統計資料も当たってみて、アメちゃんの出荷量や消費量が大阪や関西、近畿地方で突出して多いのかどうか、など、「噂の真相」を暴く、というようなものだ。…という話を二人の先生にしたら、二人ともアメちゃんを持っていて、ひとりは車の中にも常備しているという。調査結果は噂を裏付けるものになるかもしれない。
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