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ブック・レビュー?きものスタイルブック2

【8月27日】着物ムック大量発生の予感
きょうの俎上:「きものスタイルブック2」(発行:株式会社インサイドメディア 発売:株式会社ワニブックス 1260円 雑誌69821-71)
http://books.rakuten.co.jp/infoseek/NS/CSfLastGenGoodsPage_001.jsp?GOODS_NO=1702254&fl=1
※うーん。昨年出た「1」の時は、前半古着屋着物、後半現行品+それを売っている呉服屋のリストという構成で、あー、スポンサー付の本なんだ、と感じた。今回はもっとあからさまに現行品のみオンパレードで、しかも振袖客もつかもうという意図がよくわかる構成になっている。
 腰巻きの惹句は「カジュアルからドレスアップまで 今日からマネしたい! ちょっと差がつく全57コーディネイト勢ぞろい! ”本当に私らしいきものスタイル”バイブル第二弾! さらなる「きもの上手」を目指すみなさんのための きものコーディネート・ステップアップブック」とある。
 カジュアルというのは前半の小紋~訪問着を、ドレスアップというのは後半の振袖を指しているというわけだ。カジュアルコーナーに訪問着まで入っているのは、商品構成上どこかに載せなければならなかったためだと思うが、これは無理があったな。
 ま、それはいいとして、そのカジュアルコーナーに載っている着物と帯の価格帯は、着物:7万・9万・10万(小紋)、18万(訪問着)、帯は細帯3万・5万、小袋帯6.5万、7万・18万・20万円台となっている。カジュアルな着物と帯に、合わせて10~38万円・・・。まあ、新品を呉服屋さんで買えばこういう値段になるとは思うが、費用対効果がイマイチなのだ。表紙写真に写っているのは7万円の袋帯だが、どうしてもポリにしか見えない(ポリっぽい織り柄というのがあるんだな、撫松庵っぽいというか)。品質表示はどこにも記載されていないので、ひょっとしてポリなのか・・・?
 後半の振袖もこれまた安物っぽい。とくにパステルカラーのものはサンリオかと思った。キティちゃんでも描いてあれば、それはそれで嬉しかったりするかもしれないが。振袖に合わせた帯も、これまたポリっぽい。
※「平成きものぞろえ」というコーナーでは、1振袖 2黒紋付と袴 3黒紋付きと袋帯 4色無地 5小紋 6訪問着 7色留袖という順番で、普段着~よそ行きの順番でもないし、いわゆる礼装順でもない。どうも卒業式を控えたお嬢さんたちが注目する順番のようだ。
 ということは、前半のポリっぽい小紋のたぐいも、お母ちゃんに買ってもらうことを前提にしている値段ということか(でないと買えないよねえ、ハタチそこそこで)。10~15年前だったら、この本の写真を見せてお母ちゃんに「こういうのがいい」というと頭から反対されて家庭内紛争が起こったものだったが、今ではすんなり要求が通ったりしちゃうんだろうなあ。
 というのも、「きものぞろえ」のページのご指導は「全日本着装アカデミー協会理事長・きもの塾審査委員会会長」さん(それっていったいどんな団体なんだか)で、こういうエライ人が載ってる本だから、今はこれが正しいんだろうと、よくわかっていないお母ちゃんも納得しちゃいそうだから。というか、納得させるために「先生」を連れてきたんだろうと思う。(だけどホントにこの人どういう人なんだか。)
 おかしいなあ、と思ったのは「帯の種類」の説明で「細帯・小袋帯・袋帯」の三種類しか紹介されていなくて、この世界では名古屋帯が存在しないらしい。つまり、先に商品ラインナップがあって、その範囲内で記事を作ると、こういう偏りが生じるわけだ。その後、この世に名古屋帯があることに気づいて愕然とする「おんなのこ」(このムックの表記に従った)もいるんだろうなあ。
 簡単にいうとこの本は、呉服屋の商品カタログを1260円払って買わせるという新しい(というわけでもないか)手法といえる。コワイコワイ呉服屋に入らないで手にはいるというのは、消費者にとってはありがたいことかもしれないが。でも、まずはこの本一冊だけでなく、たくさん写真も実物も見て、どういうのが安物っぽいか、まずは目を肥やしてもらいたい。
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