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腰が入っていない

【6月19日】雷蔵・洗濯記事に関する文句・継ぎ当て
きょうの映画:濡れ髪牡丹1961年大映。
※サンテレビはありがたい。市川雷蔵の映画をよくやってくれるのである。時代劇コメディーだが、話がよく練られていて、伏線も生き、オチも決まっていて、すごく楽しい映画だ。雷蔵は当然としても、京マチ子の殺陣が決まっていてかっこいい。腰が決まっている。

きょうの作業:継ぎ当て。

※先だって小千谷縮を2800円で入手した。しかもでっかい矢羽根柄で、着用歴のなさそうな上にサイズはバッチリ。後ろ右身頃にちょっと置きジミがあるかな?くらいの難点しか見あたらず、ウヒウヒ持って帰ったのだが、よくよく観察すると虫食い穴がいくつか発見された。なるほどね・・・安かったわけだ。
※まあ、そんなおいしい話がそうそうあるわけもないのだ、と納得してから、さてどうしようか?と約1ヶ月考えた。長襦袢にすれば、別に小穴くらい問題ない。しかし、大好きな矢羽根柄、なんとか一回は長着として着たいものだ。
※単衣物に継ぎ当てすると目立つかな?と躊躇したが、とにかく一回穴を塞ごうと決意。そのためには裏に当てるハギレが必要。まず袖丈つめをして、ハギレを確保することにする(ああ、袖が長くてよかった・・・)。
※まず、前日に小穴に糸印をつけてから洗う。ダスキン高級衣料用洗剤を奮発、例によって赤いおつゆが出る。すすいで、仕上げは柔軟仕上げ剤と洗濯糊半々。ざっと水気を切って、ぽたぽた状態で風呂場に干す。古着臭さが、この時点でもまだ取れなかったので、リスク覚悟で「ファブリーズ」噴霧。ときどき横に引っ張る。夕刻には水が切れて生乾きになるので部屋干し。
※水で洗える素材に関しては、ファブリーズは大丈夫だったし、有効だった。すっかりきれいになり、匂いも消えました。
※次の日。片袖の長い部分を切り取って、それを小さく切って小穴の裏から継ぎ当てする。6カ所くらいも小穴があって、それを仕上げたら力尽き、袖丈つめは後日になってしまった。
※ちょうど七緒vol.3に麻の着物を洗う、という記事があったのだけれど、まあ親切な記事ともいえるが、なんか引っかかった。

※引っかかった点1,教える人・大久保信子さんに、洗う人・飛田和緒さんが教えてもらう、という体裁の記事なのだが、教えてもらっている人は着物日常という自著のある人である。自著を出したあとで「麻着物洗濯デビュー」とはいかがなものか、と感じてしまったのであった。おそらく6桁出しているので、とても自分で洗おうとは思えなかっただろう。しかし自著では「麻のハンカチを愛用している」「着物を自覚的に着始めてから10年足らず」、と書いている。その間に麻は家で洗えて当然、とは気づかなかったのか。
※引っかかった点2,この雑誌のビジュアル・スタイルのせいであるとは思うが、この記事では直径の小さい深めの洗面器のようなものを木のスツールの上に洗濯している写真を載せている。キャプション:「晴れた日の午後、ベランダで麻の水洗いを敢行。」とある。
疑問1,なるべく着物を畳まなくてもいいように、直径の大きい盥か洗面化粧台のボウルで洗った方がいいだろうに。
疑問2,なんでわざわざ安定の悪いスツールの上に水の入った洗面器を運んでまで、ベランダで洗わなければならないのか。水を取り替えるのもたいへんだと思うが。しかもベランダは紫外線ばっちりだ。
疑問3,これまでの私の体験だと、毎回「黒いおつゆ」「赤いおつゆ」に遭遇した。そのあたりの説明がない。記事の中ではカラシ色のを洗っていたが「黄色いおつゆ」が出るだろうな。そういうのが出ても、恐れず洗って大丈夫、と書いてあげなければ不親切だろう。

※まとめると、引っかかった点1は飛田和緒さんという個人のあり方というよりは、素人キモノ本がバンバン出版される現状の矛盾の現れだろうと思われる。つまり、読者の大多数が着物に関しては素人以前なので(外国人といってもいい)、自分で着たことがあって、多少の知識があれば本は出せるという状況と、雑誌に登場できる程度のタレントの選択肢が少ないため、生徒役として同一人物が引っ張り出されるという状況の矛盾の現れ、という感じだ。
 引っかかった点2は「七緒」という雑誌の体質に依拠するものだと思われる。なんか「クウネル」風にしたい匂いがプンプンして、実践的じゃないのである。直感的に「あ、腰が入っていない」と感じた。安定の悪い深いボウルで着物を押し洗いできるはずがなかろう。水、こぼすよ。洗面化粧台の鏡に向かって押し洗いしている図ではビジュアル的に格好が付かないというのもわかるが、あり得ない不都合なシーンを演出するのはいかがなものか(実際は「色の付いたおつゆ」に驚愕しながら汗水垂らして仕上げる作業で、クウネル風には、とてもいかない)。

※だんだん、いやなオバハン的コメントが増えてきたなーと自分でも思うが、裏の仕事は腰が入っていないとダメなのだ。ふわふわ足元が浮いているような記事ばかりでは、実際には読者を裏切ることになるのではないか、と危惧する。
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