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便器拝見

【12月18日】マルセル・デュシャンと20世紀美術@国立国際美術館
きょうの着物:黒にチェリーレッドで花のお召し。花の名前がわからない。
       古着屋で1500円。お召しはまだノーマークで、安い。
きょうの帯:やや黄色みのある濃いピンクに銀のバラ、強烈なアゲハ蝶の袋帯。
      オークション品、なんと18800円。画像をぱっと見たとき、
      石坂浩二とか米倉斉加年の絵を思い浮かべたのだが、
      夫が「これは江戸川乱歩だ」と断定したので
      通称「江戸川乱歩の帯」になった。
      春陽堂文庫の挿絵っぽいというか、なにか猟奇を感じたのである。
      黒いところが「キリビ」(2004年11月6日の日記参照)になっていて
    http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=78256&log=20041106
      妙に立体感がある。
きょうの羽織:青紫と黄色の絞り。オークション品、4400円。
きょうの長襦袢:母の小紋の仕立て直し。ピンクに井桁地紋、桜の染め。
きょうの半衿:白ポリ。
きょうの帯締め:エメラルドグリーン、太い平組。いただき物。
きょうの帯揚げ:淡黄色綸子、1000円。
きょうの足袋:濃いピンク花柄、いただき物。
きょうの履物:足の形になった左右のある船底台に紫鼻緒、ツボピンク。
きょうのバッグ:ローラアシュレイ袋物。
※会期終了が明日となった展覧会、今日行かなければもうあとがない。今日はかなり段取りよく着替え始めたのだが、帯を結ぶ段になって「ハテナ?」。袋帯なのに妙に短い。手先を短くして再度巻くが、なんか変だ。で、袋帯なのに一重太鼓にしてしまった。中でかなり余っていたのを無理矢理つっこむ。次に羽織の乳の位置がかなり低めで帯締めとケンカする。さらにその帯締めが、妙にピン!と元気で垂直に立とうとする。・・・・などの問題行動はあったが、とりあえず出かける。      

※ガラスと金属でできた、昆虫の頭をぶった切ったような建造物が、地下に続く美術館の入り口である。エスカレーターを降りるとロビー。ここの床が光を反射してきれいだ。明日で会期終了ということでお客が多く、ま、例によって人の後頭部を見る羽目になるが、こんなタイミングで来るのが悪い。
※有名な「泉」(便器ですね)のある「レディメード」の一角に人がたまって動かない。じっくり観察していると、一人、「泉」の前からてこでも動かない人がいて、それが渋滞の先頭となっていたのだった。
※「泉」という作品は、そんなにじっくり見るべきものなのか。おそらく、ぱっと見て、「えーっ?」と思ってもう一回見て、「なーんだ」と大笑いするか、「こんなものを作品として展示するなんて」と怒ったりするか、「ふーん・・・・」と立ち去るか(とりあえず思考停止)、そういうものなのではないだろうか。
※私見だが、現代美術というのは「いかに力一杯、全身全霊をかけて『悪ふざけ』をするか」というものなのだと思う。それが、既存の価値観を破壊したり、異議申し立てをしたりすることにもなるのではないか。「泉」は、便器という工業製品を美術館に作品として持ち込むという、その行為自体も含んで作品だったのだろうと思うが、その行為が行われた時代背景、空気、人々の反応、それも巻き込んでの「作品」だったのだと思うので、今、評価が定まったこの時代にそれを見ることは、なにかもう、「終わってしまったこと」を見るような寂しさがある。さらに、デュシャンの試みはおそらくはその業界に対する「美しき反抗」(ここでデヴィッド・ボウイの「Rebel Rebel」を聴いてください)だったのだろうと思うのだが、それを目玉にして当該業界が利益を得ているのだから、なんだかな、と感じた。

※これは深読みだと思うが、「泉」の便器は上から配水管が来るべき穴を手前にして置かれている。つまり、実際の使用時を真上から見下ろした位置である。これは「神の視線」ではないのだろうか。あるいは、日常見慣れているものの位置をちょっとずらすことで、意外な面が見える、ということなのかもしれない。
※日常見慣れているもの、と私は書いたが、それはデュシャンと同時代・同国の人々にとってのことであって、我々が見ると「泉」の便器は舶来もので、日本の「アサガオ」とは形状が違う。なので「あまり見たことのないもの」という印象がある。おそらく、発表当時の人々の驚き、意外性、それによってわき上がる憤怒や笑い、といったものは、我々には持ち得ないものだったのではないだろうか。
※だからどうなんだといわれると、まだ思考が固まっていないので、それだけのことなのだが。解説イヤホンも借りていないし、図録も読んでいないので、ま、基本知識のない素人の感想である。
※美術館を出て、川沿いに歩いて街に出る。天気が下り坂だったのだが、パラッと降られただけで無傷。ついている。
※結局、またその足で本屋に行ってしまう。中島貞夫先生の「遊撃の美学」http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4898301738/qid%3D1103376921/249-4169558-0901917
という高い本を買ってしまう。まだ中を読んではいないのだが、正誤表に感動。「(誤)現代ポルノ伝 先天性淫婦→(正)不良姐御伝 猪の鹿お蝶」。どっちのタイトルもすごい~。
タグ:展覧会 御召

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