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脱稿・脱魂~縦に

【2月27日】
※約3日、同じ服を着ている。
※前日まで、まあ、だいたい出来たわ、と思っていたのだが、それが思い上がりであることはよくあることだ。
※夫にチェックしてもらうと、2-3.はあるが2-2.がないとか(章立てがいい加減)、参考文献の表記がいい加減、とか、発行年を間違っていたとか(これにあとで気づくと、その本を探して山を崩すことになり、また部屋が荒れる)、表現がわかりにくいところの書き直しとか、やっぱり写真がないとわからん、というものの画像を探してフォトショップ・エレメンツで加工するとか(このアプリケーション、開くまでに時間がかかりすぎ)、エクセルで作った表を一太郎に挿入するとなんかブサイクだとか、なんちゅうか、内容と関係ない「作法」とか「見せ方」とか、そういう関係の話で時間がかかる。
※なんとかかんとか体裁をつけて、午後二時には宅急便伝票を貼って、担当の先生に送る段取り完了。
※しかしさらに店の用事で梅田に行かなければならない。やっと、違う服を着て、宅急便を出してから梅田に出る。悲しみにおそわれる。
※いいお天気なのに、なんで私は着物を着ていないのか。そういうときに限って、着物姿を多く見かける。悔し紛れに大丸梅田店11階の遊楽市を覗く。高すぎて馬鹿馬鹿しく、見るべきものがない。
※よく考えたら、私はこのフロアでバイトしていたのだった。大学生の頃。エレベーター脇で1000円の扇子を売っていた。当時は呉服がばーんと並んでいて、店員さんも10人以上いて、小物屋さんも面積が広かった。今では呉服が並んでいたところにお雛様が並んでいる。
※着物ブーム、和ブームって、たぶん業界には還元されていないな、この様子では。売れているのはポリだけ、とか。リサイクルだけ、とかかも。
※そういう私だって、新品お誂えは全然してない。欲しいものがないのとお金がないのと両方の理由だが、お金がある人は買ってあげて。大丸呉服店の呉服売り場があれでは、もう未来はないぞ。勝手な言い分ですが。
※帰宅後、脱魂してしまう。論文は結局、本文だけで原稿用紙35枚くらいになり、さらに註が長い。私の論文の特徴は、本文よりも註の方が面白い、というものなのであった。これを本末転倒・主客転倒という。
※印刷物になるまでに時間がかかると思いますが、調査にご協力頂いた皆様には、写しをお送りするつもりでおります。註をお楽しみに。

※思い出して追記
きょうのテレビ:「劇的!ビフォーアフター」
※あーあ、やっちゃった・・・。着物を沢山お持ちのおばあちゃま宅のリフォームで、「匠」がこしらえてくれた着物収納は、着物を二つ折りにしてパイプに吊し桐の箱に入れ、<font size=6>縦に</font>並べるというものだった。全国各地で「袋になる~!!」という悲鳴が聞こえたように思うのは幻聴だろうか。幻聴だろうとは思うが、たぶん事実だ。
※ポリのプレタや浴衣は確かに吊して売っている。しかし絹物をそうやって売っていないのはどういうわけなのか、また他の匠が着物収納を作った例の中に<font size=6>縦</font>吊りのものがなかったのはなぜなのか、今回の匠は考えるべきだった。
※どんなことでも、あ、いいアイデア、と思った次の瞬間には、自分が思いつくくらいなのだから、他にも思いついた人がいるはずだ、と考え、過去の事例を調べてみるべきだし、同様の事例が見あたらなかった場合には、そのアイデアに何か欠陥があるのではないか、と疑ってみるべきだ。
※疑問に思わない、ということそのものが、大いなる過ちを導く、あるいは重要な何かを見落とすことになると痛感する。
※博物館調査でも、和装衣料品に全く無知な人が資料整理にあたり(ただし東南アジアの染織品には精通)、洗い張りもはぎれも「ハギレ」という項目に同居させてしまった。とじ糸がついている洗い張りものの場合、単なるハギレなのになんでわざわざ綴じてあるのか?とか、ハギレにしては大きいのではないか?とか、疑問を持たなかったこと自体が疑問だ。
※ちょっと実家に電話して、こんなハギレがあって、糸で綴じてあるんだけど、と親か祖母に訊けば「そりゃ、洗い張りだよ」くらいの返事は返ってくるだろうに。全く着物に無知な家庭に育ったとしても、博物館の中にいてアカデミズムの巨塔の中にいるんだから、ちょっと服飾関係の先生に聞いてみたらいいだけのこと。「自分はこのあたりのことに関して無知だ」という自覚がないと、自分の物差しで決めつけてしまう。オソロシイ。
※一律「ハギレ」とされてしまったものは、その後服飾関係の先生方によって再調査されているが、「人選を間違うと二度手間」という例である。

※さて、縦に吊られてしまった着物収納であるが、私が依頼者なら、即作り替えを要求する。まさか、依頼者が高齢のため、「眺めて楽しめればいいじゃん、もう着ないでしょ」という考えが匠にあったのではないだろう。おばあちゃまに喜んでもらおうと思って、一所懸命だったのはよく伝わったので。だから、いいにくいかもしれないが、クレームはつけるべきだ。
※というか、あの番組を見て「よくわかっていない、嫁入り着物保管したっきり仕付け付、そろそろ家のリフォームでもしようかしら」おばさまが、「そうか、<font size=6>縦に</font>吊ればいいんだわ」と、同様のものをオーダーしないことを祈る。あの番組は、後にきちんと訂正コメントを出すべきだ。
タグ:収納
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