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振り返る・ほかのものを見る・基準を持つ

【6月3日】
※先日、古本屋で「新感覚の着付け」長沼静・著(1986年)を見つけて読んでみた、というか見てみたというか。
※着物には流行がない、というのは大間違いで、今から19年前の写真に写っている着物は、はっきり言って「トッテモ変」だ。
※以前、「NHK婦人百科(現おしゃれ工房)」のテキストの年末・夏前の号(つまり、お正月用着物・夏の浴衣記事が載っているものだけ)15年分くらいかためて見た。そのとき載っていた着物についても「トッテモ変」と感じたのだが、1号だけ、今でもおかしくない、と思えるのがあった。
※それは紬の特集で、麻の葉・よろけ縞・立涌・格子など、昔からあって、今でも変わらない文様を用いたものだった。当たり前といえば当たり前だが。
※それ以降、どんな着物が素敵かなーと写真を見るときに、新しく作られたものではなく、昔の本を参照するようになった。今でも変じゃないものは、将来も変じゃない可能性が高い。逆に、最新の着物は、5年後どう見えるだろうか、と思いながら見るようになった。そのときの新しい技術をこれ見よがしに駆使したものは、数年たつときっと陳腐に見えるだろうなと思いながら見ると、全然欲しくなくなる。
※もちろん着物だけの問題ではなく、当時のメイク・髪型も加わっての「トッテモ変」なので、その当時の着物でもヘア・メイク次第で今でも通用することもあるかもしれないが、多少の変さは漂うかも。

※長く着られるものを選ぼうとするなら、今の着物の柄を見るよりも、ちょっと昔の写真を見た方が参考資料として有効だと思う。また、その当時の流行・新柄・新技術のものの中でも「とびきり」のものは、将来的にも通用する可能性もある。いわゆる「いい仕事」をしているもの。
※問題は、中途半端に流行に乗っかってるもの、いい加減な仕事をしているもの。こういうのが、あとあと陳腐に見えるのだろうと思う。「とびきり」が買えない場合は、「昔っからあって、ちょっと退屈かも」くらいのものが長く着られるのだが、難しいのは「昔っからあるが、いつの世にもつまんないもの」との差異の見極めだ。
※花鳥風月柄は訪問着の定番だが、安物の襖の柄みたいか、日本画並の出来かで、長く着られるかどうかは変わってくる。となると、着物を選ぶ前に安物の襖の柄と日本画をたくさん見ておいた方が良さそうだ。
※またもうひとつ難しいのは、とびきりの仕事をしているのだが、その技術を駆使しすぎてくどい、とかやり過ぎ、とかいうもの。○マルキ、と表記される大島など、凝りすぎてくどくありません?何年かしたらああ、あの時代の物ね、とバレバレになりそうな気がする。
※まとめると、新しく着物を誂えるときには、1,昔のものを見る、2,着物の柄以外のものを参照する、3、やり過ぎに注意、という、実は今の着物以外のものを見、着物として適切な柄行の基準値を自分なりに持つ、ということか。一見迂遠な方法が有効、ということかも。
タグ: 雑誌

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