SSブログ

和歌山洗い張りブルース

7月28日】悉皆屋さんインタビュー@和歌山
きょうの着物:絽でっかいトンボと秋草小紋。オークション品・反物で購入、
       カビ臭かったので洗って仕立てて27000円。昨年7月18日に初着用。
きょうの帯:紗黄色地に紫で同心円。昨年7月18日と同じ組合せ。
      古着屋で12200円。
きょうの長襦袢:変な柄の麻の着物を仕立て替えたもの。
きょうの半衿:白絽に秋草の刺繍。いただき物の襦袢に付いていたのを
       悉皆屋さんにタダで漂白してもらったもの。
きょうの帯揚げ:白絽に緑で桔梗の飛び絞り。古着屋で1300円。
きょうの帯締め:薄緑の三分紐。いくらだったかもう覚えていない・・・。
きょうの帯留め:ラインストーンの蝶。いただき物。
きょうの足袋:紋麻白。2700円くらいだったか。
きょうの下駄:坂田三吉。黒地縮緬に将棋の駒の刺繍鼻緒、
       台も将棋の駒のような形。5400円。
きょうの暑さ対策:冷えピタクール背中に二枚、クールコート加工ステテコ。

※共同研究でご一緒している先生からお誘いがあり、 100年以上続いている悉皆屋さんにインタビューに行く。その前に和歌山城などを見たいという先生の希望で、難波9時半の急行に乗る。大学の先生お二人とビデオ撮影係の学生さん一人、計4名でですっかり旅行気分だ。1時間くらいで和歌山市駅に到着、駅前の観光案内所で散策マップをもらう。「ぶらくり丁」という文字で我に返る。そうだ!愛唱歌、和歌山ブルースの中で歌われている界隈だ!和歌山に行くというのに、悉皆屋さんへの質問ばかり考えていて、さらに暑さゆえ、和歌山ブルースのご当地だということを完全に失念していた。さらに和歌山ブルース歌碑があることも、以前ニュースで見たのに失念していた。観光案内所の前で「ぶらくり丁に行きたい!」と突然生き生きし出す私であったが、元々の計画通り、ひとまず和歌山城方面に向かう。


※先生が気を使ってくださって、タクシーの運転手さんに「ぶらくり丁ってどんなところですか?」と聞いてくださる。もうすっかり寂れた商店街で、全然ダメです、とのこと。二軒に一軒はシャッターが降りているとのこと。うーむ。ここも商店街が死につつあるか。

※そもそも和歌山市駅付近に人影も車も少なく、平日とはいえ夏休みなんだから子ども連れがいても良さそうなものだが・・・と不思議に思っていたのだが、住友金属の縮小に伴って人口が激減し、町が衰退傾向にあるらしい。商業施設も郊外型に移行していて、町中を歩く人が少なくなったそうだ。どこの町でもよく似た状態だが、これは悲しいなあ。

※車内で計画変更して、和歌山城の南側の和歌山県立近代美術館に行く。ここでも人影がない。たまたま、「夏休み わかやま美術探偵団」という夏休み子ども向け展覧会開催中で、あまり知識のない我々にうってつけの「和歌山今昔ガイド」になった。

※やはり徳川御三家の城下町、豊かだったのだろうなあと感じたのは、大正一二年頃のスケッチに、白いエプロンをつけた幼女やたくさんの電柱が描かれていたところからだった。町の感じとしては姫路を小ぶりにした感じだ。

※船のルートが確立していたためか、和歌山から海外に留学した美術家は結構いたようだ。また、小学校には船の模型を額縁に入れたものがよく飾られていたらしい。船と海の向こうが、内陸部の人間よりももっと身近にあったように感じられた。

※お昼ご飯を美術館内のレストランで取ろうということになり、行ってみると人がわさわさいる。美術鑑賞をするひとはほとんどいなかったので、どうも食事のためだけに来館しているような感じだ。バイキングで安価で、しかも新しくてきれいな建物だから、ちょっとした最新スポットなのかも。テラスなら待たずに座れるということで、暑いが外に出る。和歌山城が目の前で景観はバッチリだ。しかも喫煙できるのはここだけである。他の先生が着物だと暑いでしょう、と気を使ってくださるが、タバコが吸えるんだったら辛抱しますわよ。

(続き)
※しかも驚いたことに、着物でテラスにいても、耐えられたのだ。暑さが大阪とは違う。お城の堀の水と、うっそうと茂った木々のおかげもあると思うが、車や人の少なさ、室外機の排熱の少なさのせいだろうか、いつもの私の大汗かきの様子をご存じの方なら信じられないと思うが、でろでろドロドロにならずに食事がとれたのであった。湿度が低かったのかもしれない。夢のようである。

※駅前に戻って悉皆屋さんに迎えに来ていただく。駅からすぐで、真向かいに「あぜくら」のビルがある。が、営業していない様子。伺ってみるとJR和歌山駅の方に移転して、今は倉庫化しているらしい。営業中も、急ぎの仕事以外は、真向かいなのにほとんど仕事が回ってこなかったそうだ。

※悉皆屋さん2代目当主のお父様と、3代目の息子さんお二人にお話を伺い、作業を見せていただく。録音・録画のテープ起こしを待って、また報告したいと思うが、一つだけ書くと、顔と一緒で「着物もダブル洗顔」が必要だということだ。つまり、衿やら袖口やらの皮脂汚れは揮発油で落とせばいいが、さらに石鹸でダブル洗顔しないと汗の汚れは取れないということ。

※こちらでは洋服も和服も洗っていて、悉皆屋という呼称は馴染まない感じだった。悉皆屋はまあいわば口入れ屋というかディレクターで、いろんな職人さんに仕事を振って、その間を動いてまとめる役割だが、こちらのお店は実際に作業を最初から最後までやるので違う、というニュアンスだった。なので洗い張り屋さんと言い直した方が妥当のようだ。

※お話が一段落したところで、昨日近所の悉皆屋さんから引き取ってきた、シミの取れきれなかった洗い張り物件を取り出し、相談に乗ってもらう。おもむろに作業場にこもって、しばらくすると取れなかったシミ一カ所、きれいに取って下さった。しかしたくさんあるので、全部この方法で取ってもらうとたいへんな金額になることが予想されたので、部分的に染めることはできないか尋ねるが、「それなら自分でやりなはれ」と軽くあしらわれる。

※そうか、自分でやればいいのか!と突然目の前が開け、向こう見ずだとは思うが、ダメもとで一回染めてみようという気になる。まずは染料を買いに行かなければ。


※インタビューが思わぬ長さとなり、夕刻に辞去、難波まで戻る。夕食時間ぎりぎりになったので、土用の丑・鰻重を一つ、胡瓜巻・巻寿司などを買って帰る。

※今日確認したのだが、和歌山でも難波でも、暑くはあったが耐えられた。ところが我が町の駅に着いたとたん、耐えられない。マンションの入り口にたどり着くまでが最悪で、家に入ったとたん汗が止まらない。つまり、おそらくどこよりも私の住んでいるところが暑いのだ。大阪市内の排熱が全部集まっているのではないか。環境調査に来てくれるんだったら、喜んでデータを提供する。これは被害妄想ではないと思う。

※ところがこれもまた良い部分があって、カビというのは人間と同じように快適な気温では活発になり、暑さ寒さが厳しいとおとなしくなるということなので、我が家はカビの活動抑制にはうってつけの環境だったのだ。私が倒れる環境なら、カビも共倒れというわけである。

※今回、ぶらくり丁にもいけなかったし歌碑も見なかったし和歌山城にも上らなかったけれど、次回、しっかり計画して行ってみようと思う。和歌山県って、よく考えたら高野山と白浜海岸しか行ったことなかった。近くて楽しい観光スポットかも。楽しみが増えた。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。