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何も言えなくて・・・冬

【11月28日】 お食事@近所

写真倉庫→http://sanpokimono.sakura.ne.jp/2009_11_28p.html

きょうの着物:葡萄茶地に金銀で菊の縫い取り小紋。
きょうの帯:楳図かずお八寸名古屋帯。オークションで5000円。
きょうの羽織:臙脂と紺の縦縞綸子に枝花の染め。
きょうの長襦袢:錦紗牡百花繚乱染め。
きょうの帯揚げ:芥子色紋綸子。
きょうの帯締め:黄色無地平組。
きょうの足袋:白地に赤茶の麻の葉紋。
きょうの下駄:鎌倉彫竹文様こっぽり台に緑地麻の葉紋鼻緒。

※「うっかり」とか「ボケ」というのは伝染するのだろうか。ここ数年来、ボケてうっかり、が多くてうんざりしていたが、先日はダスキンさんがビックリのボケをかましてくれた。換気扇のフィルター交換にくるのにフィルターを持ってくるのを忘れたのだ。まだ若くて聡明な人なので、まさかの椿事だ。私はボケかましの大先輩であるので動揺せず、「こういうことは、あるんです。」と現実を肯定する。若かりし頃に海水浴場に水着を忘れていった実績があるので、こんなことはたいしたことではない。

※というわけで、伝染するほどボケまくりの今日この頃、数日前にアップした日記のリンクが不備だったのに、メールフォームでお知らせいただくまで全然気づいておらず、お手間をおかけいたしました。ここで御礼申し上げます。

※もう一つボケがあって、この前京都で嵐電に乗ったときに、おもしろいアナウンスがあったので書いておこうと思っていたのにすっかり抜けていた。駅が近づくと流れる宣伝アナウンスのなかに、「コツコツ丈夫な骨作り ○○整骨院」というのがあって、コツコツは骨骨なんだなーと感心していたのに、なぜすっかり抜けてしまうんだろうか。

※今日は長らくご無沙汰していた幼なじみと久しぶりのお食事会。なんかばたばたしていたので、手近にあった帯をチョイスしたのだったが、これはごく最近ヤフオクで落札したもの。おそらく長い間落札されずにぐるぐる回っていたのじゃないかと思う。というのも、なんだか変な柄なのだ。色がいっぱい入っていて、それは綺麗なはずなのに、柄が入り組んでいて妙な状態なのだ。綺麗にしようとして、どこかで階段を踏み外してしまったような・・・。おお、これは楳図テイスト・・・と、まったく競合なしに入手した。たぶん誰もほしがらないだろう。

※楳図かずおの帯を締めていったので、この前一気読みした「14歳」の話をすると、幼なじみの顔がゆがんだ。聞けば、楳図はダメ、トラウマがある、コワイ、というのだ。いったいどの時点で、どの作品でトラウマになったのか追求してみると、漂流教室かな、まことちゃんかな、と「思い出すのもコワイので曖昧」な答えしか返ってこない。女の子たちは早い時期に「タマミ」で衝撃を受けて免疫ができているから、その後の作品でびびる度合いは軽減されたと思うが、それを通過せずに漂流教室を読んだら、これくらい影響するのか、と納得した。私もコワイコワイと思いながら、それが「好き」に反転したわけだが、それは幼い頃から近しい位置にあったからだろう。

※そんなわけで「この帯、楳図なの-」と告げることができず、沈黙の歓待。・・・というのは、その後の話が「かわぐちかいじ」に移行したからである。漫画の(しかも相当前の)話ばかりしていたわけでもなく、勤務先の状況、その流れからどうしようもない上司の話などにもなる。その人の振る舞いが「困った人」なのだ。悪いことは人のせい、手柄は自分のもの、というタイプである。世に「困った人」関連の新書はいっぱい出ていて、読みながら、部分的には自分にも当てはまるのではないか?とちょっと赤面しつつ読んだりしている。問題は、その本の内容にほぼ当てはまるタイプの人が、そういう本を読まない、もしくは読んでも自分に当てはまると気づかないということではないかということだ。これが本日の二人の合意。

※話はさかのぼるのだが、今年前半、非常勤講師に行ったクラスに、勘がよくて要領もいいが、基本的なことができていない生徒さんがいて、そのひとつに敬語が使えないという特徴があって、このまま社会に出たら本人も困るだろうし、周囲にも迷惑だろうと思い、レポート採点の返却のついでに「ちゃんと話すための敬語の本](http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480687012/)というのを送った。読んでくれるかどうかわからなかったし、越権行為かもしれないと思ったが、担任の先生は好意的に受け止めてくださって、ひとまず安堵していた。

※およそ一ヶ月後、追試がわりの罰ゲームレポートと一緒に、感想文が送られてきた。ああ、ちゃんと読んでくれたんだと思って喜び、内容を読んでみた。すると、自分を客観的にとらえ、なぜ敬語を使わないのかを分析していた。本人曰く、自分に近しい(好ましい)と感じている大人(先生含む)には「なあ~○○センセ」と声をかけてしまう傾向があるのだそうだ。あんまり好きではない先生には敬語なんだそうだ。ということは、私は好かれていたのか。しかし、それは自分だけのルールだから、周囲に理解されるのは難しかろう。それはともかく、これ読んでみて、と渡されて、自分に批判的な内容であっても、自らを省みて、他者から見た自分の姿を認め、それがなぜそうなってしまうのかをよく考え、しかも最後に感謝の意を表明してくれていて、ああ、この人は指導者と本人の心がけでまだまだ伸びる人だと確信したのであった。

※話がそれてしまったようだが、この生徒さんは18歳前後。心や脳がまだ柔らかいから素直に受け止められたのだろうか。いや、私の若い頃を思い返すと、大人に逆らうことばかりに躍起になっていて、そんなに柔軟ではなかったように思う。そして、前述の困った人は、さらに心も脳も硬くなっていて、さらに受け入れ難い自己像を認めることはないだろう。18歳の子にできたことができないのは情けない。アンチエイジング、いつまでも若々しく、なんて言葉が横行する今日この頃だが、見た目や肉体のことではなく、心の持ち方・使い方の面で、柔らかい状態を保つ努力が必要だろう。しかしおそらく、「困った人」というのは若い頃からずっと自らを客観視することなく来てしまったのだろうから、今さら無理かもしれない。鉄は熱いうちに打て、という。早い時期に誰かが叱ってくれたら、ああはならなかったのかも。早いうちに、タマミを読んでいれば、楳図コワイ、読めない、にはならなかったのに。返す返すも残念なことである。
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さまさま

【11月25日】  展覧会@天保山

写真倉庫→http://sanpokimono.sakura.ne.jp/2009_11_25p.html

きょうの着物:クリムトお召。
きょうの帯:白地にダークローズ系幻想花昼夜帯。
きょうの羽織:紺地に金の縫い取りストライプ。
きょうの半襟:紺×白描き疋田。
きょうの長襦袢:錦紗牡百花繚乱染め。
きょうの帯揚げ:中村美律子グッズのシフォンスカーフと芥子色紋綸子無地を重ねて使用。
きょうの帯締め:金糸入り唐組。
きょうの足袋:自作塗り塗り足袋。
きょうの履物:呉服屋展示会来場粗品のエナメル草履にクリムトお召はぎれ鼻緒。

※クリムトお召、と私が呼んでいる着物を古着屋で見つけて以来、クリムトが気になってきて、このたびサントリーミュージアムで「クリムト、シーレ」と大書されている展覧会があるというので行ってきた。いやはや、ずいぶん前に「ウィーン世紀末展」というのを観に行ったが、そのほうが正確なタイトルだった。今回、クリムトもシーレも出展数が少なく(所蔵しているものだけだったら仕方がないと思う)、とてもタイトルに大きく示すほどの存在感はなかったと思う。この二人の名前さえ出しておけば客が来る、という営業上の戦略だろうが、実際に行った人が不快感を持っては逆効果だろうと思う。しかしこの美術館も閉館が決まっているから、不快感や不信感をもたれたところで、今さらどうでもいいのかもしれない。

※天保山へは普通に地下鉄で行けるのだが、市バスに乗ってみることにした。先だって、赤バスに乗って楽しかった記憶があったのもあるし、大観覧車の真下までつけてくれるというのも魅力、しかも終点まで乗っても200円ポッキリ。ただし、到着時間が読めない。結局、難波から1時間以上かかったが、ドライブしたと思えば平気だ。

※腹ごしらえをしてから美術館に入る。平日なので空いている。しかしそれにしても空きすぎである。やはり経営は苦しそうだ。1300円もするのもネックだ。高い、場所がちょっと不便→人が来ない、人が来ない→単価を上げる、という負の連鎖があるのじゃなかろうか。800円くらいだったらもっと来ると思うんだけど。しかしあのでかい建物の維持管理には相当の経費がかかるのだろう。

※人が少ないので音が響く。その中を、草履でバッタバッタと音を立てて歩くご婦人がいらっしゃって、耳を疑う。自分でも耳障りではないのだろうか。とはいえ、おそらくゆるゆるの鼻緒じゃあ、ああいう歩き方になってしまうのだろう。履物業界は、ちゃんと鼻緒をすげて売ってもらいたいものだ。

※ミュージアムショップでは、なんか気軽に2万4000円とかのトートバッグなんてのを売っていて、いつも思うのだが、こういう場所で万のつくお買い物を即決できる人って、そんなにたくさんいるんだろうか。図録も高いし、お手頃価格のグッズはセンスが悪いし、どうしようもない。一筆箋とクリアファイル、キーホルダー以外に思いつかないのだろうか。

※半券がで100円引きになるというので、お茶を飲みに行く。セルフサービスなのに結構なお値段だ。だが、天井高く、広々として空間はよい。その分のお値段だろうとは思う。夕日も海に落ちて暗くなったので帰ることにするが、また市バスに乗ってみる。意外と本数もあって、すぐに来た。帰りのルートは海辺で働く人の通勤の足でもあって、結構な数の方が利用している。第二突堤、というバス停から海運倉庫で働いているらしい女性が乗ってきたりする。その人たちを満杯にして、バスはなみはや大橋を上る。ぐんぐん上る。そして長い橋、というか道路というかは延々続き、ライトで輝く港が楽しめる。こんなに楽しいスペクタクルなルートとは知らなかったので、とっても得した気分だ。

※振り返ってみると、展覧会を観に行ったというよりも、バス旅行の合間に展覧会も観た、という程度の比率になっていた。バスに乗らなければ、つまらん展覧会に行っただけ、という感想に終わっていたところだ。バスさまさま、なみはや大橋さまさまである。
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お預け品の引き取り

【11月23日】 買い物@天六

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きょうの着物:白地にレンガ色ででっかい菊唐草型染め縮緬小紋。
きょうの帯:薄緑にロバの名古屋帯。
きょうの羽織:葡萄茶地紅葉の縮緬。いただきもの。
きょうの半襟:ココアブラウン絞り。
きょうの長襦袢:錦紗牡百花繚乱染め。
きょうの帯揚げ:青緑紋綸子。
きょうの帯締め:アイボリ地に赤金。
きょうの足袋:黄色無地ポリニット足袋。
きょうの下駄:箱根細工表神戸下駄に臙脂無地鼻緒。

※今月初めに履物屋さんに行って、おしゃべりしていううちに他のお客さんで忙しくなって、結局買わずに預けて帰ってきていて、それが気になっていた。年末近くなると何かと気ぜわしいので、さっさと済ませることにした。

※あらかじめ電話をしておいたので、到着時には仮すげまで終わっていて、あとは足を合わせるのみ。それも大きな変更なしでオッケー。仕上げてもらっている間、新着商品を見る。およそ9年以上、品揃えを観ているが、時々新顔も出てきて、下駄のバリエーションはつきることがない。草履に比べて、下駄の楽しいところだ。傾向としては「角切り」といわれる角張ったタイプが増えてきているように思う。

※結局また、お茶を飲みに行っておしゃべりすることに。日本一おいしいと私が認定したミックスジュースのお店は、たとえ祝日でも月曜定休を守り、お休み。いつもと違うお店で飲んだミックスジュースは、やっぱりちょっと違っていた。
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印象

【11月20日】 嵐電~美術館@京都

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きょうの着物:青紫紋綸子地地紋起こしで笹の染め小紋。
きょうの帯:芥子色塩瀬地記念切手名古屋帯。
きょうの羽織:小豆色に白で描き疋田笹紋一越縮緬。
        古着屋で1050円、丸洗い2625円、袖丈つめ3500円、
        裄出し4500円、合計17000円くらいでようやく登板。
きょうの半襟:ココアブラウン絞り。
きょうの長襦袢:錦紗牡百花繚乱染め。
きょうの帯揚げ:甘い水色綸子。
きょうの帯締め:ダークローズ丸組。
きょうの足袋:自作塗り塗り足袋。
きょうの下駄:焼桐後丸台に赤系クリムト鼻緒。

※こんな展覧会やってるらしいよと夫がおしえてくれて、初めて知った「堂本印象美術館」(http://www2.ocn.ne.jp/~domoto/index-j.htm)。最初、堂本さんが印象派の絵を集めたところかと思ったくらい、何にも知らなかった。「堂本印象」という人がいたということすら知らなかった。この画家さんの私設美術館を京都府が引き取って、その後管理を立命館大学がしているということだ。

※場所を調べて愕然とする。お世辞にも近いとも便利ともいえない。しかーし!嵐電に乗っていけば、電車も楽しめて一石二鳥、さらに嵐電付近に行ってみたい場所もあったので、出不精の二人としてはわりとスムーズに企画がまとまる。しかし当日になって、夫はPCの不具合でサポートセンターに電話、私はずぼらがたたって冬用肌着の行方を捜して時間がかかり、家を出るのが遅くなる。遅くなったくせに、京都の町中でゆっくりお昼ご飯をとったり、近辺を散策なんかしていたものだから、ますます時間が押して、美術館到着は閉館時間の30分前という有様。

※昭和41年に建てられた外観は、すごく斬新で、昭和45年の大阪万博を経験した目にはなじみやすいものだったが、竣工直後は近隣の人に「なんじゃありゃ?」という風に思われたんじゃないだろうか。しかし夫曰く、30年くらい前には、周囲にはなんにもなかったから、文句を言う人も少なかったんじゃないか、とのこと。図録を確かめてみると「顰蹙を買った」と書かれていた。なるほど、やはり。

※外装のみならず内装の隅々にまで印象のデザインが生かされていて、館内案内表示の矢印看板すら、おしゃれにデザインされている。とても楽しい美術館。印象の作品は時代ごとにバリエーションが増えて、構成というのか、抽象画も多いのだが、それすらも「あ、これは好きだ」と感じられる。抽象画って、下手すると独りよがりでわけわかんない、不快感すら催すことがあるのだが、好きなタイプだったようだ。

※今回の企画展示は、着物・染織関連の書物や展覧会でよく取り上げられるものも多かったが、着物がよくわかるものも多く、洋装にしてもしゃれたものが多く、楽しめた。ただ、私にとってはこの美術館の存在自体が衝撃的で、展示の方がかすんでしまった「印象」。

※帰りもてくてく歩いて嵐電の駅まで行くのだが、途中の住宅街に「この家好き」というのを発見。いろいろな町でそういう家に巡り会うのだが、共通しているのは「シュロの木」「寂しげな玄関」だろうか。この家に住んで、子供の頃から近くに堂本印象美術館があったら、いったいどういう人に育っていただろうか、などと想像してしまった。子供の頃に美しい、おもしろい、楽しい建物や絵画を見て育ったら、もっと豊かな人間になっていたのだろうか、と。

※日はすっかり落ちて、真っ暗になった中を帷子ノ辻のお目当ての家まで行く。土曜ワイド劇場「京都殺人案内」の音川音次郎、音やんの家だ。踏切のそばなので、見つけやすく、夫と交代で記念撮影する。ああ、うれしい。これで長年の懸案が一つ解消された。

※ほっとして駅前に戻り、大映通り商店街を散策。そこで「珈琲スマート」を発見、三条寺町の店の前を昼間に通っていたが時間切れで入れなかった。ちゃんと兄弟店がここで待っていてくれたんだ、と運命を感じ入店。天井の高い、明るい店で、とても気分がいい。フレンチトーストも正統派でおいしい。

※ここも閉店時間が迫って、急いで退店した。今日はとにかく時間ぎりぎり、滑り込みセーフというのばかりだった。

※連休直前で人出も少なく、メインの観光地でもないので、混雑に巻き込まれずとても楽で楽しかった。着物パスポートがあれば、美術館は入館無料。建物をみるだけでも価値あり、おすすめです。

※本日、今シーズン初の羽織着用となった。先日お手入れから返ってきた「笹やん」セットにしたのだが、羽織を羽織ってから、その表面を触って、え、まさかポリじゃないだろうね?という疑惑が起こるくらい、しぼがない。一日着てみて、軽さや暖かさから、確かに絹だと実感できた。周囲はダウンジャケットを着ているが、私は出てきたまんまの格好で暑さも寒さも感じずにすんだ。ポリではこうはいかない。笹やんセットは音やんの家にまで行ったことで、先々、忘れられないセットになりそうだ。
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いいこともわるいことも

【11月19日】

※日記も滞っていたここ数日、何があったかというと、階段状に気温が上下するのに振り回され、ストーブを出したり灯油を持ってきてもらったり、クリーニング屋さんのセールにあわせて突撃したり、まあ、日常茶飯事に追われていた。加えて、階下の住戸の内装工事が始まりどんどんがんがん響きはじめ、それに合わせたかのように外側の足場解体工事も始まりガシャガシャ響き、騒音の合奏となった。逃げ出したいのだが、灯油の配達も待っていて逃げられず、次第に頭痛がひどくなり少し寝込む。

※その前に、グラチャンバレーが先週から始まっていて、女子が期待以下の結果に終わり意気消沈していたりして、とにかくなんだかぱっとしない数日だった。・・・が、昨日、男子チームがポーランドを破り、まさか勝つとは思わなかったので、うれしいというよりもビックリした。

※ちょっと低空飛行の日々で本もちゃんと読めず、これはイカンと思っていて、買ってあったNHK趣味悠々(http://www.nhk.or.jp/syumiyuuyuu/manga.html)楳図かずおの 今からでも描ける!4コマ漫画入門 のテキストをぱらぱらめくる。それを読んでいて、そうだ、私は楳図ファンだといいながら「14歳」を読んでいないということを思い出し、もし自分の身に何かあったら、絶対心残りになるだろうから、読んでおかねばならぬと思いつき、ヤフオクで20巻一気買いする。それが届いて、一気読みする。ああすっとした。途中、「ギャッ」とか「ひゃあ」とか声を上げながら、それでも笑ってしまいながら読了。 

※本当に楳図かずおはおかしな人である。階段の一段目と二段目の高さが違うような、半音ずれたピアノみたいな、常識的でありながら微妙に変なのだ。俳句でいうと形式通りの句じゃない「破格」っていうか、常道ではない感じだ。しかし、最初は形式を踏まえていて、その後徐々に型破りになっていったというのではなく、いきなり最初から破格で始まっている感じがする。つまりはある意味、天才なんだろうと思う。

※それなのに趣味悠々という番組は、最初から型から外れている人に「入門講座」をさせているのだ。テキストの内容も、楳図先生の指導と、そのお手本となる作品の間に乖離があり、ほほう、本人はそういうつもりで描いていたのか、結果的に全然違うものになっているぞ、というのを再認識させるものとなっている。というか、楳図先生の4コマ漫画ってオチがないというか、オチがよくわからないというか、なんだか寒い感じがするのだ。独特の味で、クスッと笑うというようなものではなく、なんかへーんな気分にさせられるもので、それは普通の人が学ぼうと思っても学べないものだろうし、そもそも、本人にそういうものを描いているという自覚すらないようである。天才ゆえであろうか。この人に入門講座の講師をさせようと思いついた人は、その「へーんな感じ」を感じなかったのだろうか。

※漫画一気読みで弾みがついて、[今日は人間は考えても無駄である ツチヤの変客万来](http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2764881)を読了。声を立てて笑ってしまう内容だ。対談集だが、やっぱり変な人の友人は変な人たちなんだ、というか土屋教授と会話が成立する人たちって、相当の強者だなと、そういう人もいるんだなあと、変な感心の仕方をした。

※階下の工事は年末年始も続き、騒音はまぬがれ得ないが、補修工事の足場は本日解体され、9月半ば以来、久しぶりに障害物のない空を見た。ああ、なんと苦しい日々だったことか。洗濯を自由にできないことがこんなにも苦痛なことだったとは、思いもよらなんだ。普通に暮らせることのありがたみがよくわかった。

※今後、騒音でストレスがたまることは容易に想像できるが、好きなときに洗濯できるようになっただけでも事態は改善されたと思うべきなんだろう。そしてこのまま男子バレーチームが勝ち続けてくれれば、もっと気分が上向きになってきそうだと少し期待している。
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ダブルヘッダー

【11月13日】  観劇@南座

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きょうの着物:薄紫に白ででっかい麻の葉の染め、銀糸縫い取り小紋。
きょうの帯:溶岩流。
きょうの半襟:アイボリ地ふくれ織り。
きょうの長襦袢:錦紗牡百花繚乱染め。
きょうの帯揚げ:薄黄~薄紫ぼかし綸子。
きょうの帯締め:黄緑冠組。
きょうの足袋:自作塗り塗り足袋。
きょうの下駄:雨の日用太夫の下駄。

※午前中ミーティングで、毎回へろへろになるのだが、今月は観劇の日と重なってしまい、もうどうしようか状態になる。しかも天気が悪く気分も乗りにくい。とにかくあらかじめできる準備は済ませて、ロスタイムなく準備を進められるようにしておく。

※雨コート着用して電車に乗る。でも、降っていない。結局この日は傘もコートも役に立たず、単なるお荷物となってしまった。南座前にはいつものように恐ろしい人だかりで、近寄れず、真向かいの喫茶「菊水」に避難する。隣の席の退職後風おじさま二人のところに、もう一人やってくる。今日の公演のチケット持参だ。どういうルートかわからないが、いい席の券が手に入るらしく「今日は前から三番目、昨日人に譲ったのは前から五番目だった」とおっしゃっている。飲食関係の人らしい。そのとき、同行するお友達からメールが入り、読んでみると「今日のお席、1列目じゃないですか!!!びっくりです」と書いてある。えー?と思って確認してみたら、1列目だった。ミーティングと京都へ時間通りに到着するということで頭がいっぱいで、座席を確認していなかったのだ。

※今日の「桂春団治」は2年前に松竹座で2回も観たのだが、そのうち一回は一番前の右端の席だった。今回も同じ。不思議だ。で、同じ芝居を3回も観ることになったのは、ジュリーが出ていることと、半額券が当たったからである。藤山直美に至っては、2002年以来9回 観ているがそれはすべて違う演目。半額券さまさまだ。生ジュリーは4月以来7ヶ月ぶり。

※劇場に入り、お弁当get。新歌舞伎座でもそうだったが、買ったお弁当を膝に乗せたままでお芝居を観るのは結構苦痛で、何とかならんかと思っていたが、今日になって、預かってもらえることがわかった。松竹座は予約だけ入れて、幕間に玄関ロビーまで取りに行くのだが、南座は現物を用意し、販売後預かるという方式らしい。この制度は利用せねば、と預かってもらうことにするが、伝票を書いていた職員さんが「今日はえーと、13日・・・」とつぶやかれ、「そうそう、それで金曜日なんですよー」と」付け加えると「あらまあ、悪いことが起こらないといいですね」なんて話もして、お弁当を買っただけでも楽しく会話でき、とても気分がよかった。

※お友達とも無事落ち合い、いよいよ幕が上がる。前回観たときも楽しかったし、ちょっと気になった演出もそのままで、まあ、逆に言えば安定した出来を維持できる演目なんだなと、安心して観ることができた。25分休憩が二回ある三幕もので、前回の「反逆児」があまりにも短かったので、今回は満足。長けりゃいいというものでもないが、適切な長さというものがあろうと思うのである。

※休憩が長いので劇場内をうろつき、二階へも上がってみる。二階席の一番前に、コーナーに斜めに配された席があって、ずいぶん見晴らしがよさそうだ。一度、あの席で観てみたいものだ。終演後はもう、ミーティングの疲れもあってヘロヘロで、素直に京阪で帰る。ダブルヘッダーは、やはりしんどいわ。
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長い付き合い

【11月12日】

※夏の後始末がまだ残っていて、本日ようやく悉皆屋さんへ。これまで、お互いの都合が合わず、なかなか会えなかった。夏に着た着物の汗ぬきや、出してみたら短かったという放置物件など、多数持ち込む。

※お代金の額がはっきりしているものについては、なるべく先に支払ってしまうようにする。というのも、無計画なワタクシのことゆえ、仕上がってきたときにお金がない!という事態が想定できるため。しかし、向こうが固辞する。あちらはあちらで「あれば使っちゃうから」という、ほぼ同じ理由。引いたり押したりして、だいたい半分くらい代済みにして、ちょっとだけほっとする。

※代金のはっきりしないものは、やってみないとわからない染み抜き、繰り回しの必要な仕立てなど。ややこしい指定が多く、申し訳ない、と頭を下げると「なにゆうてんねん、長い付き合いやおまへんか」と、たいへんありがたいお言葉。

※振り返ってみると、2000年以来ずっとお願いしていて、今年で丸9年のおつきあいになっていた。何かと融通をきかせてもらえるようになり、すっかり頼りにしてきたが、「長い付き合い」と認めてもらえるようになるには、およそ10年はかかるということだ。そして問題は、そういういい関係になっている頃には、向こうがすっかり年を取っていて、今後、いつまでお願いできるか不安になることだ。いい関係を構築するには時間がかかるが、それが維持できる期間がどれくらいあるのか。それは誰にもわからないけれど、これから私がすべきことは、こうして築いた関係を大事にしていくことだ。
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大わらわ

【11月10日】観劇@松竹座

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きょうの着物:青系臈纈染め小紋、古着屋で2800円。
きょうの帯:黒繻子にカサゴ刺繍二部式帯。
きょうの半襟:ポリ白自作点描もの。
きょうの長襦袢:錦紗牡丹の染め。
きょうの帯揚げ:円谷系綸子。
きょうの帯締め:ダークローズ丸組に五色の玉。
きょうの足袋:自作塗り塗り足袋。
きょうの下駄:青っぽい黒艶消し御船台にヴェルサーチ風鼻緒。

※鼻づまりが治ったら、今度は咳に移行し、夜は気管支炎みたいになって眠れない。それでも午前中、ベランダにプランターや金魚鉢を戻したり、粗大ゴミや資源ゴミを出したり、網戸を洗ったりで、あっという間に時間が過ぎる。改修工事も一段落して、ようやくものを戻してもよいというお達しが出たのだ。ああこれでまた元の生活が取り戻せると安心していたら、玄関先に背広姿の男性二人が立っている。ゼネコンの人。真下の住戸が室内を大々的に改装するとのことで、また騒音が始まるんだそうだ。立ち直りかけた心が、がくっと再び折れるような気がした。

※眠れなかったツケがここで回ってきて、ものすごくしんどくなる。ちょっと休憩、と横になったら、出かけるための準備の時間が足りなくなって、とりあえず出していたものを着て出かけることになってしまった。

※松竹座前に到着すると、ものすごい人の数。動員数が多いようだ。玄関先には本陣のような幕と提灯が下がり、フェイクの篝火が燃えている。初日の前日かに、出演者で篝火を点火するイベントがあったらしいが、その後は、建物に引火するとまずいのでフェイクに変えたようだ。

※あまりにすごい人数なので、開場されてもなかなか人の列が進まず、じっと待っていたが進まない。人気演目なんだなーと思いつつ、我々もじわじわ進んでようやく入場。なんか中村獅童ファンクラブの人がいるようだ。人が多い=暑い、ということで、無理かなと思いつつも係員さんに、会場が暑くなってくるので、空調の調節に気をつけてくださるようにお願いしておく。その甲斐あってか、一幕目は涼しかった!何でも言ってみるものだ。が、偶然かもしれない。だって、二幕目は暑かった。

※今回の収穫はヒロシ(http://ameblo.jp/hiroshi-officialblog/)と中村蝶紫(http://www.kabuki.ne.jp/meikan/members/actors/a0979_chousi.html)。最近テレビで見ていなかったヒロシさんであるが、声がいいので舞台で映える。中村蝶紫さんは、4人で踊っていて、一人だけ腰が決まっていて、ちゃんとお稽古している人の良さが際立って見えた。今まで、踊りの見方が全然わからなかったが、あまり上手じゃないというか、キャリアの浅い人に交じって踊っているのを見て、うまい下手の見方がようやくわかった気がした。

※そして今回の「貢献度大」は波乃久里子と平幹二郎。前者は「わー、この人なんて憎たらしい、度し難い人間だ」と怒りを呼び起こさせるほどのインパクト、後者は存在感はもとより、声がよく通り、とても聞き取りやすいのだ。獅童は残念ながら、ところどころ聞き取りにくいところがあった。上演時間は短く、あっという間に終わった感じだ。

※終演後、トイレに並んでいた奥様の会話では、お友達をお芝居に誘いたいけれど、もしそれがおもしろくなかった場合、申し訳ないので誘えない、というような内容で、その発言の裏には、今日のお芝居の出来がもう一つよくなかった、というニュアンスが含まれていたと思われる。もう少し時間をとって、じっくり描くところがあったのじゃないだろうか。

※お弁当を5時半前後に食べて、7時に劇場から放り出されたのでお腹もすかず、とりあえず冷たいコーヒーを飲みにアラビア珈琲へ。なんやかんやおしゃべりしてから、待合へ行く。フランシス・アルバートというカクテルを教えてもらう。ウィスキー(ワイルド・ターキー)とジン(タンカレー)を同量注いで出来上がり。フランク・シナトラの本名が冠されている。フランシス・コッポラが愛飲したとか。シナトラ本人はまったく与り知らぬことだろう。

※森繁久彌氏、老衰でご逝去。市橋達也容疑者、南港で身柄確保。今日のニュースは大わらわ。

※さて今日の小紋は初おろし。臈纈染めってあんまり好きではなかったのだが、ちょっと前に(2007年9月3日の日記参照)、山本富士子の「夜の河」を見て、なんとなく「食わず嫌いも損かな」とも感じていて、先だって古着屋で見かけて買っておいたもの。花柄だが、なんだか水の中みたいな雰囲気もあり、「愛の水中花」セットでも作ろうかと思っていたのであったが、本日準備の時間切れに瀕し、選択の余地なし状況で思わぬ登板となった。もう控えのピッチャーがいないので、3日後に先発予定の投手が出てくるような、まあ、そういうことであった。

●ここより下は、これから観に行く人は読まない方がいいと思います。●

※今日のお話は、家康の息子、岡崎三郎信康の物語。錦之助が演じて以降、久々の再演だそうだが、意外なほど短い上演時間だった。そして何より気になったのは「タイトルと内容がずれている」ということ。ちっとも反逆者じゃないじゃん!原作のタイトルは「築山殿始末」だったが、昭和36年に映画化されたときに「反逆児」になった。その後それを踏襲しているようだが、おかしい、これはちっとも内容に沿っていないと思う。あまりに気になるのでプログラムを確認してみたら、今回の補綴・演出の斎藤雅文さんの文章の初っぱなに「『反逆児』という題名について繰り返し考えています」と書かれていた。そうだろう、これ変だもん。しかし綿々と受け継がれたものを変えるほどの勇気はなかったらしく、「受け入れ難い人生に対し、抗い、反逆することこそ、若者の特権であり、純粋さの証であることは今も昔も変わりはないはずです。」と、何とか自らを納得させようとしている。しかし、信康は「受け入れ難い人生」を受け入れたのだ、どうひねくり回しても、題名は変だ。あえて言うなら「あえて反逆児の汚名をきて」(つかこうへい風に)とでもいうべきではなかろうか。あるいは「犠牲者」とか。

※演出の人こそ、すでにつけられた「受け入れ難い題名」に対して「反逆児」になるべきではなかったか。

※お友達から「シャネルズごっこができるね」と以前話していた、真っ黒なシートパックをもらう。実際に使ってみたら、ショッカーの戦闘員になってしまい、「イー!」と鏡の前で叫んでみた。予想とは違う結果であったが、仮面ライダーファンにとってはうれしい贈り物。

※もう一つのギフトはパンダに取り憑かれた私のために追い打ち、いや、駄目押し?のタオルハンカチ。袋から出したとたん、こ、これは・・・と大笑いであった。ありがとう!
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